【私学の教員採用裏事情】~私立学校教員への転職・就職志望者必読ブログ~

元学校人事コンサル社員が私立学校の教員採用の内部事情をお知らせします。教員志望の大学生、公立から私立への転職を検討している方、私立学校にお勤めの方、私立学校に子供を通わせている保護者の方が知っておくべき私立学校の実態。

私立学校の採用と派遣・紹介会社について

私立学校の教員採用の秘密を守り人材派遣紹介会社は利益を得る

前にも書いた通り私立の教員採用は公立の学校と違い、異常なほどに情報が少ないのが現状です。

 

学校の採用担当者や管理職は非常勤講師や常勤講師で色々な学校を転々としている人を採用するのを嫌がります。転々とする教員側にも問題があることもありますが、学校が求人時にどれだけ教員に対して学校の雰囲気や教員の雰囲気や働き心地を開示しているかと言うと疑問を感じます。

 

私立学校の教員採用の求人票を見るとほとんどの項目で「学校規定による」となっています。労働時間も休みも賃金も「学校規定による」で応募する人がいるから成り立っているのですがこのような採用活動が世間から乖離しているのは明らかです。一般企業で社員・アルバイトを募集するときに働く日も、給与もわからないまま求人を出すことはないのですが私立学校の教員採用ではこれだけ雇用条件がブラックボックスになっていても採用しているのが現状です。

 

何年か前まではこのように内容不明な教員募集でも採用に問題はありませんでしたが、最近は教員志望者の減少に伴い採用が難しくなってきています。そこで台頭してきたのが私立学校の教員の派遣・紹介会社です。

 

学校が教員を採用できないと諦めたときにこの派遣・紹介会社に人を採用したいと依頼をして。派遣・紹介会社はそれに見合った教員を学校に提案するということです。

 

派遣・紹介が悪いということではないのですが(私も元業界の人なので否定はしません)学校が情報開示をしたり採用に工夫を凝らさず、「学校規定による」というブラックボックスを守るために派遣・紹介会社に教員の手配をお願いするわけです。

 

学校により派遣・紹介会社に新採用を完全依存している学校もあれば新年度ギリギリまで工夫してどうにもならないときに派遣・紹介会社に依頼するなどの線引きは異なります。

 

教員の採用ができずに新年度を迎えて保護者や生徒に「先生がいないので授業できません」となるよりは教員がいたほうがいいと思うので派遣・紹介会社はセーフティーとして必要なことだと思います。ただ、派遣教員であるかを保護者・生徒が知っているということはほとんどないと思います。教員は学校に「派遣教員」であることを生徒・保護者に言わないように指示されていますし、それを告知する義務もありませんので生徒・保護者は学校と雇用契約を結んでいない教員に教わっている(た)ことを知ることもなく授業を受け、受験に挑み、卒業するのです。

 

学校は教員採用の中身をブラックボックス化させ、その一部を派遣・紹介会社だけに伝え、「学校規定による」を守り、生徒・保護者に対しても派遣教員がいることを隠して生徒・保護者対応をするというのが現状です。

 

もちろんすべての学校がブラックボックス化させて情報を秘匿しているいるわけではありませんが大手の教員人材会社は500校との取引ということですので全国の私立学校1,400校に対して4割弱の学校との取引となります。

 

派遣・紹介会社を否定的にとらえているわけではありません。

 

「教育」だから「派遣」はおかしいなんて時代錯誤なことも考えていません。

 

ただし、私立学校は採用のブラックボックスを解消し、離職者を減らす努力と、離職に伴う新採用を出さない努力をすべきだと思います。

 

そして、生徒や保護者に対して「派遣教員」であることを告知しない後ろめたさがあるのであれば学校は利用を控えるべきだと思います。また利用しているのであればその理由を生徒・保護者に理解してもらえるように説明をするべきだと思います。

 

また、派遣・紹介会社を利用すると1名の採用に年間50~100万円の費用が余分にかかります。保護者からすればこの費用を生徒の学びに還元してもらいたいというのが本音だと思います。

 

私立学校が社会や世間に情報を開示しなければどんどん社会や世間から離されて、ますますブラックボックス化が進んでしまいます。学校教育に対して保護者や生徒が多種多様な選択をする時代に私立学校は最良の選択肢だと思います。公立学校にできない現代の最良の選択肢がこれから情報を開示していく重要性に対して実行してくれることを強く望みます。

 

私立学校の採用について質問がありましたらコメントください。できる限り答えたいと思います。