【私学の教員採用裏事情】~私立学校教員への転職・就職志望者必読ブログ~

元学校人事コンサル社員が私立学校の教員採用の内部事情をお知らせします。教員志望の大学生、公立から私立への転職を検討している方、私立学校にお勤めの方、私立学校に子供を通わせている保護者の方が知っておくべき私立学校の実態。

私立小学校の質問と回答特集

今回は、私学教育研究所の求人の私立小学校の給与や選考について、3名からの質問に回答していきたいと思います。

 

お盆前で忙しくてブログ自体確認できていなかったのですが質問がこんなに来てました!!

見てくれてる人が意外といるんだなと実感しています。ありがとうございます。

 

一つずつ回答していこうと思ったのですが全て同じ小学校で、なおかつ待遇に関してという共通のものなのでまとめて回答していきます。

 

その前に、少し前提というか質問のルールを作らせてください。

 

  1. 特定の学校についての質問については回答し辛いので控えましょう。

せっかく頂いた質問なので知らない部分についてはできるだけ業界内の伝手も使ってヒアリングしたり調べたりして回答しています。

私自身と学校・教職員との信頼関係。私自身と教育業界関係者の信頼関係を壊さないようにしたいと思っております。

ニュース等では学校名・社名が公表されていることなので学校名・社名を記事上に書くこともありますが公表されていない場合は大人の対応として表現をぼかしたいと思っています。

 

  1. 質問で自身が特定されないように注意しましょう。

質問は原則、公表したいと思います。学校の採用担当者がこのブログを見ているかは不明ですが、今のご時世、教員選考で最終選考の時にフルネームくらいはweb検索しています。

私自身は、業界のほんの一部には身バレしてますが選考を受ける皆さんにとって何がどう学校の目に映るかわからないので自分を守るためにも、質問自体を大人の表現に変えて質問をお願いします。

 

  1. 回答は原則、記事内で行います。

匿名であるから書けること(一部に身バレしているから公表しちゃおうとはなりません)が多くあります。

メールなどの個人的なつながりで匿名がほころぶようなことは避けたいと思います。

 

以上の3点となります。できるだけ長くブログを続けて、多くの質問に回答していきたいと考えていますので、ご理解をお願いします。

 

それでは質問の回答をしたいと思います。

 (今回は学校名・ID等は伏せますが前述のとおり今後は公開します。)

 

1件目

私立小学校採用試験の受験を検討しています。(●●小学校を考えています。) 私学の退職金や年金は、学校によるものだとは思いますが、有名私学の場合、公立並みに出るものなのでしょうか?

 

2件目

こんにちは。公立から私学の小学校に転職を考えているものです。ブログをとても参考にさせていただいています。 私学教育研究所のリストから学校ホームページの求人リンクを一つずつ見て確認しているのですが、多くの学校で給与について「本校の規定による」などと書いてあり、具体的に書いていません(●●小学校など)。 4月からの専任教諭に応募する予定なのですが、大体給与はどのくらいかご存知でしょうか?現在は手取りで28万ほどです。相場がよくわからず、あまりにも下がりすぎるのは…と迷っています。また、事前に電話で問い合わせることもできるのでしょうか? お忙しいかと思いますが、メールにてご返信いただけると幸いです。

 

3件目

●●小学校の受験を検討しており、情報収集をしているのですが内部の人がどのような働き方(何時くらいに来て、何時くらいに退勤しているのか。忙しさはどうか。土曜出勤などはあるのかなど)をしているのかという情報を入手できていません。 内部に入ってみないと分からないことも多いとは思いますが、なるべく事前に情報を知った上で受験をするか考えたいです。 ●●小学校の職員に知り合いもいない状況です。このような状況では、どのようにして情報を収集するのがいいですか?

 

回答

  • 私学の退職金や年金について
  • 私学の給与について
  • 労働時間などの働き方の情報取集ついて

今回も上記3点について回答していきたいと思います。

私学の退職金や年金について

どちらも現状は普通並みには出ると思います。

ただ退職金という考え方自体がこれから無くなっていく可能性がありますし、年金についても同様です。

特に年金に影響する私学共済においては加入条件の見直しがありましたので受給のタイミングでは影響があるかもしれません。

 

比較的、現在は給与面等は安定している職業ではありますが私学のほとんどが補助金を前提として経営されています。

そのため、補助金について政治的な要因や、少子化などの社会的な要因、テクノロジーの進歩などで変わる可能性は大いにあると思います。

 

私学の給与について

こちらも普通並みに出ると思います。

都道府県の教員の給与テーブルを参考にしている学校もあります。

 

給与については学校によって大きく異なるので「内定通知書」をもらってから待遇について確認すれば良いと思います。

納得のいく待遇でなければ断ればいいですし、給与を確認したことで内定取り消しとなれば然るべきところに相談すれば動いてもらえます。

また、強引に内定承諾書にサインを求められたとしても、その場ではサインをしてやり過ごして後日、辞退をすれば問題ありません。

こちらは退職と同じなので着任まで遅くとも2週間以上前に伝えれば問題ありません。

選考の途中で確認するのは、少しリスクが大きいと思います。

採用担当者に「給与で仕事を決めるのか」と思われて不利に働くこともあるので。(前時代的ですが)

 

余談ですが、一般企業の転職では待遇面などは調べれば公になっていることが多いのですが、私学の場合は待遇面を公にしないことが多いです。

保護者や生徒に知られたくないという理由はわかりますが、それで守れるのは自分たちの学校の1校だけで、待遇を公にしている現代のスタンダードから離れることで私学全体の教員採用を困難にして優秀な人材が離れて業界全体を沈下させていることは問題だと思います。

 

労働時間などの働き方の情報取集について

基本的には学校のホームページや求人票以上の情報は内部教員のリークが無い限り情報の収集は不可能だと割り切りましょう。

 

基本的に教員志望者を大事に思っていない私学がほとんどです。(採用されてからは別)

今の就職・転職売り手市場の時代に1人の採用枠に100人以上の応募者が集まるのが私学の専任教諭採用なので採用情報を公にして優秀な人材を獲得していくという動きはありません。

 

一般企業であれば会社の中身を見せてその「会社に合った10人の優秀な人の中から1人を選考する」という形です。

私学の採用は何も公にせずに興味があるなら「とりあえず書類を送ってくる人が100人いれば1人くらい優秀な人がいるでしょう」という形です。

つまり、私学は前提に強みや適性など志望者の「人ありき」ではなく、学校に忠誠を尽くせるか否かの「組織ありき」という採用です。

個別の学校情報を仕入れることは現在の業界の流れでは不可能に近いと思います。

 

その中でも意識的に教員志望者向けの説明会を開いたりして変わろうとしている学校もあるので機会があれば積極的に情報収集していきましょう。

 

最後に

今回は小学校の質問がまとまってきていたので1記事でまとめさせてもらいました。

 

近年は教員の働き方については中高の部活動問題が注目され過ぎて小学校教員の学級運営 + 全授業 + 授業準備の問題がなかなか世に知られていないというのも危惧しています。

私立の小学校のほうが専科も進んでいることが多いので魅力に感じることも多いと思いますが公立に比べれば採用は高倍率です。

また、私立の中高に比べれば教員採用の流動性が低いので入ってから人間関係で苦労する事も多くなる可能性があります。

 

適切な情報収集のためにもアンテナを張り続けることが大切だと思います。

 

私学の採用情報については下記記事で随時まとめています。

shiritukyoushi.hatenablog.com