【私学の教員採用裏事情】~私立学校教員への転職・就職志望者必読ブログ~

元学校人事コンサル社員が私立学校の教員採用の内部事情をお知らせします。教員志望の大学生、公立から私立への転職を検討している方、私立学校にお勤めの方、私立学校に子供を通わせている保護者の方が知っておくべき私立学校の実態。

私立学校の教員を志望することについて

忙しい教師は夕方になっても帰れない

「忙しい教師」敬遠? 教員養成学部の倍率低く

https://mainichi.jp/articles/20180225/k00/00m/040/182000c

 

非常に興味深い記事です。

 

部活動の問題・保護者対応の問題など時代とともに学校に求めることが変化し、多忙を極める教員の声もSNS等の発展により労働環境として適切でないことが明るみに出てきて数年前の「教員」「学校」のイメージから様変わりしています。

 

私自身も前職の会社に入るまでは学校や教員のイメージというのは私が中学生・高校生のときのイメージである旧来の「聖職者」・「教育者」という感覚でしたが、実際に私立学校の人事の内部に入ってみると私立学校はいわば「一般企業」であり、教員は「労働者」であるということを目の当たりにしました。

 

私立学校の人事担当の教頭や校長と話していて「公立の採用試験の志望者・倍率はここ何年か大きく変わらない(厳密には自治体によって多少差があるのですが)のになんで本校は講師の採用ができないのですか?」という質問がありました。

 

「それは正規雇用としての教員になりたい数は変わらないが非正規雇用としての待遇で教員になりたいと思ってる人がいない」ということが一つの要因ではないでしょうか?とお話ししてました。

 

実際に、私立学校の教員採用で専任教諭の募集は公立の教員採用試験と同様に非常に高い倍率で応募者もかなりいます。教科によっては1名の採用に100名以上の応募があるということもよくあります。

 

この専任教諭の教員採用の感覚で常勤講師や非常勤講師の採用を行うので私立学校は人事感覚が世間一般とずれてるんだな。と思います。

 

私立学校の現在の管理職の方たちの若かりし頃は非常勤でも常勤でも「教員を目指すなら我慢してた」という感覚です(そもそも専任採用が多かったが)。今はここまで学校教員というステータスが落ち、ブラックな働き方と言われているにも関わらずこの感覚があるのです。

 

今や教員は特別な仕事ではなく職業のうちの一つであり、4年制大学を出て「非正規雇用で教員」と「正規雇用で民間企業」であれば後者を選ぶ可能性が高くなっていると感じています。

 

つまり「絶対に教員を一生の仕事にする」と覚悟を決めている人はこれからも旧来の採用方法で応募してくると思いますが、その人気自体が下がってきているというのが引用した記事です。

 

私立学校は昔の学校同士(公立・私立)の教員獲得の競争ではなく、世界に数多ある一般企業と同列で人材獲得の競争をしているという現実を直視するべきです。

 

このまま団塊世代が退職し続け、教員人気も下降の一途をたどれば優秀な人材は一般企業に就職し、学校は優秀ではない教員を採用することとなり、その結果として授業や進学実績が下降していけば生徒獲得活動に力を入れることとなり、ますます教員の負荷は増えるという負のスパイラルが目の前に迫っていると考えます。

 

「教員だから」、「教育だから」、「学校だから」という言葉と感覚で問題を棚上げできない時代がすぐそこまで来ています。管理職の方々は定年で逃げ切れるかもしれませんが現在中堅の教員が管理職になり後始末をし、これから採用される教員はその問題を実際に解決しなければならない世代となります。

 

教員志望の方たちは自分が受ける学校が教員を大事にする学校かよく見極め、また本当に職業として教員がベストな選択なのかをしっかり考えて就職・転職活動をすることをおすすめします。

 

私立学校の採用について質問がありましたらコメントください。できる限り答えたいと思います。